南仏で手にした吹きガラスのポット、正式名称は"Pot à Servan Raisin"と言い、Servan-セルヴァンと言う熟成葡萄を接ぎ木する為に使われていたポットです。初めて目にした、やや歪な形をしたこの吹きガラスのポットについて売り手のムッシュに尋ねてみた所、その昔セルヴァン瓶がどの様に使われてきたモノなのか、とても丁寧に教えてくれました。
Servan-セルヴァンは、1900-1910年にかけて南仏コートダジュール Alpes-Maritimes アルプ=マリティーム県 Valbonne-ヴァルボンヌで栽培されはじめた事をきっかけに近隣のコミューンにも広まり、食用葡萄畑の再建と繁栄をもたらした、伝説と言われている葡萄。そんなセルヴァンを接ぎ木する際、当時"セルヴァンの貯蔵庫"と呼ばれる北向きの暗室に、茎の新鮮な葡萄を水をたっぷり入れたガラスのポットに挿し、秋の終わり頃からイースターの時期まで保存していたのだそう。
ポットの首にワイヤーが巻かれているのは、貯蔵庫内のラックに吊るす為で、ポットには当時のままワイヤーが付属しています。そのワイヤーは全て手仕事で巻きつけたので歪みがあったり、今となっては経年による錆付きがあったりコンディションは様々。またポットに水垢の痕跡があるのは実際に使われていた証で、是等全てがこれまで育んできたセルヴァンの歴史なのだとムッシュは仰っていました。私は一目見た瞬間からこの吹きガラスのゆらゆら感と歪み、そして程良いダメージを見て、明らかに現代のガラスポットとは違う表情と、何よりもムッシュが教えてくれたポットの歴史について物凄く惹かれました。
春のイヴェント時にお店のウィンドウに沢山並べて、ツェツェの"四月の花器"のようにお花をランダムに挿して飾ったのは今となっては良い思い出です。一年を通して花器としては勿論のこと、冬から春先にかけては水耕栽培にも良いですね。カトラリーを立てたりキッチン周りにも。 キャンドルを合わせて"Lyonの祈りのランタン"的な使い方にもトライしてみたいです。
今回は数ある中から、比較的水垢の少ない綺麗なモノを揃えました。とは言え100年以上前に実際に使われていたガラスの為、洗浄しても落ちない水垢が残っています。また口元のガラス面の処理が甘くやや鋭利な箇所もあります。写真を拡大して予めコンディションをご確認ください。
◎size Φ8.5cm(内径7.5cm)、高さ14.5cm、底径7.5cm